なぜ無罪判決に58年も?袴田事件を長引かせた4つの原因をわかりやすく解説
さて、今回は【袴田事件】について話すよ。
これは、日本の司法史でも最も長く続いた冤罪事件で、無罪判決までなんと58年もかかってしまったんだ。
1966年に起こった一家4人の強盗殺人放火事件がその始まりだったんだけど、なぜこんなに時間がかかったのか、4つの原因を詳しく見ていこう。
58年って…ほとんど一生がかりじゃない!
袴田巌さんはその間、どうやって過ごしていたの?
袴田巌さんは、事件の逮捕後すぐに死刑囚として扱われ、ずっと拘置所で過ごしていたんだ。
もちろん、無罪を主張し続けたけど、その訴えが聞き入れられることはなかった。
ここでは、どうしてそれだけ時間がかかってしまったのか、順を追って解説するね。
事件の発生と背景
まずは、どうしてこの事件がそんなに大きくなったのか教えてほしいな!
袴田事件は1966年、静岡県清水市で発生したんだ。
当時、味噌製造会社の専務一家4人が深夜に刺されて火を放たれるという残虐な事件だった。
現金も盗まれていたから、警察は強盗殺人放火事件として捜査を進めたんだよ。
そんな大事件が起きたら、警察も犯人を早く捕まえたくて焦っちゃいそうだね…。
そう、それがこの事件の一つの問題点なんだ。
警察は当時の社会的なプレッシャーやメディアの注目もあって、袴田巌さんをスケープゴートにした可能性があると言われているんだ。
袴田巌氏の逮捕とその過程
逮捕された後、どうやって無実の袴田さんが自白してしまったの?
袴田さんは過酷な取り調べに耐えきれず、最終的に自白に追い込まれたんだ。
当時は取り調べが24日間も続いて、ほとんど睡眠や食事も与えられない状況だった。
便器まで取調室に持ち込まれて、トイレにも行かせないなんてことまであったんだよ。
それはひどすぎる…。
それじゃあ、無理やり自白させられたってこと?
そう。
彼の自白は取り調べによる圧力の結果だとされている。
しかも、自白の内容が日によって変わっていて、裁判で44通の自白調書が無効とされたけど、なぜか1通だけが有効と認められてしまったんだ。
自白の経緯と問題点
じゃあ、その自白を元に袴田さんは有罪にされちゃったの?
その通り。
自白の内容は、犯行動機や手段が一貫しておらず、信憑性が低かったにもかかわらず、裁判所はそれを採用して有罪判決を下したんだ。
でも、袴田さんはその後の法廷ではずっと自白を否認していたんだよ。
どうしてそんなに無理なことが通っちゃったのか不思議だね…。
再審請求までの経緯
再審請求って、具体的にはどんな感じで進んでいったの?
再審請求は非常に長い道のりだったよ。
1981年の第1次再審請求は、検察の強い反対で却下されたけど、2008年にDNA鑑定の新証拠を基に第2次再審請求が行われたんだ。
これで再審が始まって、最終的に無罪判決が下されたのが2024年だったんだ。
無罪判決までの58年間がかかった4つの理由
無罪判決まで58年もかかった原因は、次の4つが挙げられるよ。
証拠の開示とその遅延
まず最初の原因は【証拠の開示の遅延】だよ。
袴田事件では、再審請求に必要な証拠が警察や検察からなかなか開示されなかったんだ。
実際、DNA鑑定ができるようになるまで、証拠が全く提出されなかったんだよね。
なんでそんなに証拠が隠されてたの?
検察側は、事件の証拠が揃っていると主張していたけど、再審に必要な物証の開示を拒んだんだ。
これがDNA鑑定に必要な衣類の血痕の証拠なんだけど、もしこれがもっと早く開示されていれば、再審請求も早く進んだ可能性が高いんだ。
だから、証拠が開示されない限り、再審請求も遅れてしまったんだね。
再審制度の問題点
次に挙げられるのは、【日本の再審制度自体の問題点】だ。
日本の再審制度は非常に厳しく、再審請求が認められるまでのハードルが高いんだよ。
再審制度って、再度裁判をやり直すための制度だよね?
それがどうしてそんなに難しいの?
そうなんだ。
再審請求が認められるためには、既に確定した判決に対して『新たな証拠』が必要なんだ。
でも、検察が証拠を開示しなかったり、裁判所が新証拠を軽視したりすることがあって、再審がなかなか認められないんだよ。
袴田事件の場合、1981年に行われた第1次再審請求は、証拠の不足や司法の慎重さから却下されてしまったんだ。
だから再審請求が通るだけでも大変なんだね…。
検察の上訴
3つ目の理由は【検察側の上訴】だよ。
再審が認められたとしても、検察側はその決定に対して異議を唱えられる。
つまり、再審が認められても、検察が上訴を繰り返すことで、再審の開始が遅れてしまうんだ。
それって、再審が決まってもさらに時間がかかるってこと?
その通り。
袴田事件でも、2008年にDNA鑑定を元に再審が認められたものの、検察側は上訴を繰り返して再審を引き延ばそうとしたんだ。
そのため、実際に再審が始まるまでさらに時間がかかったんだ。
検察がそれだけ強く反発するのは、やっぱり自分たちのミスを認めたくないからなのかな…。
そうだね。
検察は一度下した有罪判決を覆すことは、組織としての信頼に関わる問題だから、冤罪を認めるのを極力避けたがるんだ。
その結果、再審が遅れてしまうケースが多いんだよ。
冤罪が明らかになるまでの法的障壁
4つ目の理由は、【冤罪が明らかになるまでの法的な障壁】だ。
冤罪を証明するには、新たな証拠を揃え、裁判所がそれをしっかり審査する必要があるんだけど、その過程で多くの障害があるんだ。
どんな障壁があったの?
まず、警察や検察が自分たちの過去の捜査ミスを認めることが難しい。
それに加えて、裁判所自体も慎重になりがちなんだ。
特に、すでに確定した判決を覆すのは大きな決断だから、裁判所は非常に慎重に動くんだよ。
袴田事件では、DNA鑑定という科学的な新証拠があっても、裁判所は再審を決定するまでに非常に長い時間をかけたんだ。
科学的な証拠でも、簡単には動かないんだね。
そうなんだ。
さらに、再審が開始されても、検察が強く反対することで手続きが複雑になり、最終的に無罪判決が下されるまで多くの時間がかかってしまったんだ。
まとめ
まとめると、【証拠開示の遅延】、【再審制度の厳しさ】、【検察の上訴】、【法的障壁】の4つの理由が組み合わさって、袴田巌さんの無罪判決まで58年もかかってしまったんだよ。
これだけの理由が積み重なると、1つの事件がこんなに長引いてしまうんだね…。
司法制度の改善が必要だなって感じるよ。
そうだね。
袴田事件は、冤罪がいかに恐ろしいものか、そしてそれを解決するための制度の課題を浮き彫りにしたんだ。
今後、こうした事件が起こらないように、制度の改革が必要だよね。
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